2012年10月1日月曜日

豊郷巡礼に寄せて

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三年前、なんだったんだろうなあ。
僕はその頃はまだ、オタクっていうと冷ややかな目で見ていたのかもしれない。
なんていうか「電車男」の衝撃の跡が残ってたいんじゃないかと今思えばそんな気がしてる。
まだ国民が「オタク」を一つのイメージとして捉えようとしていた時代ような。そんな感じだ。

でも普通に硬派な部活で多くの先輩がアニメを見ていたし、僕が全く見ていないせいで合宿で空気読めないヤツとして扱われたこともあったなあ。
中3の時だって、アニメやそんな文化に興味のなかったような人間(今で言ったらリア充みたいな感じだろう)が〈オタクっぽいもの〉に変わっていく姿を目の当たりにしていた。


そんなことはどういでもいい。
そう、三年前だ。「けいおん!」ブーム。
あれは文化的な第三の波と言っていいぐらいの衝撃だったんじゃないだろうか。

その前にもあった「ハルヒ」や「らき☆すた」など、ヒット作が生まれていく中でブームに至るまでの助走があったんだとは思うが、
マスコミが報道する以前に、あれは奇妙な盛り上がりだった気がする。
僕は男子校だから尚更なのかもしれないけれど、秋葉原の事件などの風評被害を切り抜けて、復活を遂げた電車男的な〈オタク〉の再生な気がしてならない。

前置きが長くなったけれど、「けいおん!」の聖地、豊郷に行って来ました!!!
そこで思ったことや感じたこと、ずらずらと書いたのでよかったら見てやってください。




前回のブログに書いた洛北の民家に泊めさせて頂いた方の車に載せて頂き、湖東へ向かいました。


後部座席にはゴキ(ゲフンゲフン)あずにゃんを載せておりました。

これが豊郷小学校の旧校舎だ!



車で小学校に向かう途中から「あ、この風景みたことある!」と思ってしまった。
これが聖地巡礼なのだろうか。僕はガチの聖地巡礼をしたことがなくて、けいおんは一期と二期の途中までしか見てません。。。
それにしても、モダニズム建築は心を落ち着かせますね。僕も語れるほどの知識や見聞を広めているわけではないのですが、感覚的に落ち着きます。

あまり長々と書くのはあれなので、短めに書くと
中は時間内であれば自由に見学することが出来るようになっていて、シルバー人材センターや図書館、学童保育所など地域のコミュニティスポットとして活用されています。


入ると直ぐに階段があって、手すりにはアニメにも描写されている「うさぎとかめ」の意匠が。

このまま三階へあがって、おなじみの音楽室へ向かいます。


音楽室の前にはケロちゃんが!ここまでくると、本当にアニメの世界に踏み込んでいるような気がしてなりません。

豊郷小を訪れてみれば、五人の姿が目に浮かぶ(豊郷維新)



音楽室に入ると、アニメの状態が再現されていました。
まさかここまでとは僕は思っていなかったので驚きだったのですが、改めてけいおん現象(?)の凄さを感じました。
ちなみに放課後ティータイム(けいおん!のバンド名)のティーセットがちゃんと用意されています。もちろん食玩ですが、時々本物のケーキが置いてあったりするそうな。。


こういう場所には必ずといっていいほどある、ファンノート。
すごいね、何冊目なんでしょうか。

正直、僕はもうけいおん!ファンの熱意でお腹いっぱいだったのですが
音楽室を出て隣の教室に向かうと、そこは


ステージなっていました。
けいおん!が放送されたのを契機としてコミュニティが形成されて、毎週土日に有志でセッションをしているそうです。
凄くプロ並みの人から、最近始めた初心者まで。また面白いのがけいおん!を全く見ていない人までもが参加しています。
(まあ、ああいう日常系アニメは好き嫌いあるからしゃーない、というのはある)


部員募集中みたいなので、興味あったら参加してみるのもいいかもしれませんね。


次は当時図書室だったところに行ってみたいと思います。

 

図書室は改装され、観光案内所と「けいおん!カフェ」のスペースとして利用されています。
このカフェスペースですが、勉強するために道具持って来てる中学生らしき女の子もいたからコミセン的な扱いなんだろう。


その奥にはファンのスペースがあり、らき☆すたの鷲宮神社の絵馬のようにメッセージカードが沢山掛かっていたり、ファンに寄るグッズや書籍が寄贈されまるで「けいおん!博物館」のようになっていました。


来た時は雨模様だったので、あまり人が居ませんでいたが、昼ごろになると沢山の痛車がやって来て、(いかにも)聖地巡礼している場面が見られました。

ここからがシリアスな話

正直いうと僕はこの聖地巡礼、この目で確かめたいというのがあったのだ。
大学の講義で、経産省が進めるクールジャパンについての話題があって、その教員が配る資料を読んでもオタク文化の上澄みを掠めとっただけの、いかにも「お役所的」なもので、本当の聖地巡礼ってなんだろうっていう疑問から今回の豊郷訪問というのはあったのである。

あえて最初のほうに載せなかったのだけれど、小学校の一階に展示室が設けられている。


ここでは豊郷小学校の歴史を垣間見ることができる。
僕は今回、豊郷町は「けいおん!」の舞台の一つであるという認識しかしていなかったんだけれど、実は近江商人(おうみしょうにん/おうみあきんど)発祥の町ということを知った。
しかも現在の伊藤忠商事の創始者、伊藤長兵衛と丸紅の古川鉄治郎を生んだ町でもあるそう。
探せば沢山あるんだろうけれど、例えば建築士はかのヴォーリズだったりだとか、古川鉄治郎が寄付して設立されたとか、豊郷町には普通の人は知らないだろう歴史がある。

Wikipediaにもあるように、関西の人には馴染みのあるそうだけれど、大騒動となった校舎改築問題という歴史。
そして最近ではけいおん!による町興しがあるというわけだ。

しかし、この聖地巡礼、もともと町興しとして行おうというわけではなかった。
最初から町の人々がアニメの舞台だとは知るはずもなく、たまたま放送が始まって一ヶ月後に校舎が開放されて沢山の人が豊郷を訪れる騒動(いい意味での)に発展したから、今の町興しが行われているのである。
それに写真にもあるように(全て載せてないけれど)、けいおんに関するグッズや楽器、コスプレ衣装、食器、楽譜、食玩などは有志で提供されたものばかりだ。

つまり僕の言いたいのは
「聖地」というのは間違いなく歴史に裏付けされており、ある偶然から生まれたものであり、その歴史の上を重ねるようにして、僕たちは〈巡礼〉をしているのである。
ただ単にけいおんが流行った→オタクが集まっている→町興しというのは早計ではないのかとは思うのである。
(それに外部から訪れている人は別にオタクだけでは無いぞ)

夜遅いので、上手く考えがまとまらないんだけれど、
どうしても経産省の考えには首を捻らざるを得ないのだ。アニメとかの聖地っていうのはAだからBだ、っていうような一義的に説明できるものでは無いと思うんだよなあ。
もちろんそういう考えの方がシンプルだし、沢山人を呼び込みやすいと思う。が、いずれはその〈聖地〉は薄れてしまう気がする。

もっとそこから生まれているコミュニティや堆積している歴史に結びつけながら、歴史を塗り重ねていくほうが間違いなく〈聖地〉として在り続けると思うんだよな。


と、そんなチラ裏記事でした。

ではまた今度。だいぶネタの鮮度落ちてます。

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